有名なiPodの開発者であり、元AppleエンジニアでNestの創設者でもあるトニー・ファデル氏によると、スティーブ・ジョブズ氏は2008年にはAppleが自動車を製造するというアイデアを検討していたが、最終的には他のプロジェクトを考えていたため、進めないことを決めたという。
ブルームバーグとのビデオインタビューで、ファデル氏はジョブズ氏と自分自身が、仮想のアップルカーをどのように作るか、どんな機能を搭載するか、ダッシュボードはどのようなものかなどについて話し合ったと語った。
「何度か散歩をしました」とファデル氏はブルームバーグのエミリー・チャン氏とのインタビューで語った。「もし車を作るとしたら、何を作るだろうか?ダッシュボードはどうなるだろうか?これはどうなるだろうか?座席はどうなるだろうか?燃料や動力はどうやって供給するだろうか?」
「デトロイトの自動車産業はほぼ壊滅状態だった」とファデル氏は語った。「あの頃はアイデアを出し合うのが楽しかった」
結局、ジョブズは当時進行中の他のアップルのプロジェクトで忙しかったため、その時点では前進しないことに決めた。
「結局、私たちはとても忙しくて、制約が多すぎて…実現できれば最高だけど、できない、という状況でした」とファデル氏は語った。2008年当時、電気自動車用のバッテリー技術はまだ初期段階だったため、ジョブズ氏がこのプロジェクトを棚上げしたのは賢明な選択だったと言えるだろう。
ファデル氏は、自動車の製造において最も難しいのは、実際の自動車の設計や製造ではなく、接続性の部分だと考えている。
「車にはバッテリーがあり、コンピューターがあり、モーターがあり、機械的な構造があります。iPhoneを見れば、それら全てが同じように機能しています。モーターまで内蔵されています」と彼は言った。「しかし、本当に難しいのは、コネクティビティと、どのように車を自動運転にするかという点です。」
ティム・クック率いるアップルは、社内では「プロジェクト・タイタン」と呼ばれる電気自動車の開発に取り組んでいるという噂が広まっている。アップルが自動車エンジニアや電気自動車の専門家など、数々の著名な人材を採用していることから判断すると、アップルカーは実はシリコンバレーで最も知られていない秘密と言えるだろう。
出典:ブルームバーグ