Appleは昨日、SAP Cloud Platform開発用のソフトウェア開発キット(SDK)をiOS開発者向けに提供開始したと発表しました。2016年5月に発表されたAppleとSAPの提携は、ビジネスプロセスとワークフローの改革を目指しています。このSDKにより、開発者はAppleの最新プログラミング言語であるSwiftでネイティブiOSアプリを開発し、SAP Cloud Platformに統合できるようになります。
初心者のために説明すると、SAP は、ビジネス運営と顧客関係を管理するためのエンタープライズ ソフトウェアを開発するドイツのビジネス ソフトウェア メーカーです。
SAP Cloud Platform SDK for iOSを使用すると、開発者はSAP Cloud Platformとエンタープライズバックエンドデータを活用し、iOSアプリを構築、拡張、実行できます。SAPコミュニティには250万人以上の開発者が参加しています。
なんと、ビジネス トランザクションの 76 パーセントが SAP システムに関係しています。
Apple は次のような利点を強調しています。
- バックエンドプロセスへのシームレスな接続— SDKを使用すると、開発者はSAP Cloud Platformとエンタープライズシステムに保存されている企業の集約データを容易に活用できます。また、アプリはSAP Cloud Platformで定義されたサービスや機能を利用し、機密データを保護するための具体的なビジネスルールやセキュリティルールを組み込むことができます。
- ネイティブiOSテクノロジーを活用— SDKの主要な構成要素の一つとして、開発者はネイティブiOSフレームワークとテクノロジーにアクセスし、優れたアプリを開発できます。つまり、アプリは最新のインターフェーステクノロジーと内蔵センサーを活用し、ユーザーが期待するコンテキストとエクスペリエンスを提供できます。
- Swift ベースの SDK — この SDK は、Apple の強力なオープンソースプログラミング言語である Swift をベースに構築されています。つまり、Swift で作業する際には、SDK をシームレスに呼び出し、フレームワーク、UI 要素、API を活用できます。また、すべての外観と操作性が適切に保たれるため、ネイティブ iOS API にアクセスするのと同じくらい自然な開発エクスペリエンスが得られます。このツールキットには、Mac ベースのアプリ「アシスタント」も付属しており、プロジェクトのセットアップや SAP Cloud Platform への接続を簡単に行うことができます。
- SAPがiOS向けに開発したデザイン言語を活用— SAPは、ビジネスユーザーのニーズとAppleのヒューマンインターフェースガイドラインに基づくiOSデザインの原則を融合させた、新しいFiori for iOSデザイン言語を開発しました。SDKには、再利用可能なコントロール、UIパターン、テンプレート、バックエンドサービスへのアクセスなど、この新しいデザイン言語のUI要素が含まれます。これにより、開発者は再利用可能なデザインコンポーネントを迅速に活用し、アプリ間で一貫性のある直感的なユーザーエクスペリエンスを構築できます。
- 必要なトレーニングとサポート— AppleとSAPが提携し、開発開始を支援するリソースを提供しています。SAP Academy for iOSは、開発者がSAPシステムへの接続、SAP Fiori for iOS設計言語の活用、そしてiOS設計・開発のベストプラクティスを習得できるように設計されています。
SAP Academy for iOS への登録は、Apple の Web サイトで行えます。
SAPは現在、製造業から小売業まで幅広い業界向けに、基幹業務プロセスの変革を目的としたiPhoneおよびiPadネイティブアプリを開発中です。その第一弾となる「SAP Project Companion」は、本日リリース予定です。
詳細については、developer.apple.com/sap を参照するか、SAP の開発者向け Web サイトにアクセスしてください。
出典:アップル