iPhone需要の冷え込みを受け、一部の通信事業者はAppleへの販売契約の履行に苦慮している。そして、Appleもこの問題を無視するつもりはない。あるアナリストは木曜日、Verizon Wirelessという通信事業者が、最大140億ドル相当の売れ残ったiPhoneの責任を負わされる可能性があると投資家に語った。
ベライゾンは2010年の契約で、2013年に235億ドル相当のアップル製携帯電話を購入すると約束していたが、この約束を果たすには、この米国の通信事業者が今年、2012年の2倍以上の数のiPhoneを販売する必要がある…
多くの人がiPhone需要の下降年とみているこの年に売上を倍増させるのは見込みにくいため、ベライゾンはアップルに対して120億ドルから140億ドルの売れ残り在庫を抱えている可能性があると、新たに設立した独立系調査会社モフェット・リサーチのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は述べている。
ブルームバーグによると、アナリストはAppleの第3四半期の純売上高が22%減の68億7000万ドルになると予想している。Appleは7月24日に第3四半期の決算を発表する予定だ。
iPhoneがAppleの売り上げの約半分を占めているという事実と合わせて、同社は「これらの約束を単純に無視することには消極的だろう」とモフェット氏は書いている。
アナリストは、 Appleが「これらの不足分について再交渉するための何らかの配慮を引き出さない」ことを期待するのは「非現実的」だと述べた。他の通信事業者もVerizonと同じ立場に陥る可能性があるため、Appleが契約を無効にするとは期待できない。
ライバル通信事業者のスプリントは若干有利な立場にあるかもしれない。
2011年にiPhone販売契約を締結した際、同社はApple製端末の購入量を若干削減し、4年間で155億ドル相当の購入を約束した。モフェット氏によると、スプリントが失敗しなければ、この目標を達成できるはずだという。
一部の通信事業者が iPhone の購入契約を満たすのに苦労しているという主張は、一部の無線通信事業者が Apple の端末に関して冷淡な態度を取る最新の理由にすぎない。
AppleによるiPhoneの厳格な管理に不満を抱く企業もあれば、高額な補助金に難色を示す企業もある。こうした状況が重なり、結果としてAppleのキャリアパートナーの新規数は減少している。
2011年以降、iPhoneの販売契約を結んだ新規サービスプロバイダーは10社にも満たない。例えば、サムスンのキャリア網はAppleの2倍以上だ。iPhoneの販売契約を結んでいない著名なキャリアとしては、世界最大の携帯電話会社である中国移動(チャイナモバイル)が挙げられる。
インドやロシアなど、スマートフォンの新たな成長地域となり得る国々でも、Appleはパートナーを探している。ヨーロッパで現在調査が進められているAppleの厳格な販売要件により、数十億人もの潜在的なiPhone顧客が取り残されていると言われている。